乗務員仮睡から大船駅無視 昭和六年十月三日

休養時間を遊興で濫費 鉄道省は厳罰方針

一日、上り準急行列車が大船駅を無視した事件は乗客に幾分の迷惑をかけたのみで実害こそ伴わなかったが機関手としてはもっと忌むべき信号冒進をなしたのであり、事故誘発の素因を十分に持っているので東鉄局ではすこぶる重大視しその真相調査に当たり国府津機関庫主任は責任者機関手富田政則、助手鹽谷甚造の両名を取調べたところ機関庫勤務の若い連中のうちには十分與えられた休養時間を遊興に濫費している事実がはしなくも発見され事件当時両名は仮睡状態にあったものらしく、一両日中には新橋運輸事務所を通じて東鉄局に報告されることとなり実害はなくとも大事件を引き起こしたと同様に厳罰すべしとの意見が唱えられている。東鉄局ではこの際特にパンフレットを発行し
一、信号冒進警戒
一、制限速力確守の二モットーを掲げ各乗務員に配布する予定である。又鉄道省では今回の事件が脱線衝突の事故を生じなかったという理由で何等報告を受けていないがこれを遺憾とし、今後は重大事故を招来せずとも危険を冒した場合には直ちに各方面に報告を命じ万全の策を講ずることとなった。

※昭和六年十月三日東京朝日新聞夕刊

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