満洲問題突如枢府の俎上へ 昭和六年十月一日

「幣原外交軟弱なり」と果然、攻撃的質問続出 昨日の本会議全員挙って発言 議題外だと政府憤慨

枢密院三十日の本会議は伊東、石原両顧問官の病気缺席を見たのみでその他の顧問は全部出席し枢密院近来なき出席率を示し異常なる緊張を呈しほとんど出席の全顧問官より幣原外交に対する痛烈なる論難的質問あり、正に枢密院全院挙って幣原外交は軟弱なりしとしてその精算を迫り同時に南陸相に対しては今回軍部の執れる措置は全く機宜に適し間全する所ないものであると激賞を與え幣原外相に対する皮肉たっぷりの場面を呈するに至ったが当日ではなお質問終了せずとして来る七日の本会議日に質問を続行なすべしとして居るが政府としては当日の本会議の議題と何等関係ない満洲問題が突如としてかくも深刻に議論せられた事は真に意外として居る所であって、枢府が今回の満洲問題が重大問題であり憂国の真情発露として事件の真相を聴取し質問に名を借りて好意的助言もしくは忠言をなすということは誠に親切なる態度であるが、しかしそれはあくまで非公式なものであり友情の発露でなければならなぬ。然るに各顧問官挙ってあたかも会議の議題を審査するが如き態度に出た事は遺憾であるとして居るから来る七日の定例本会議日においては或いは相当の波乱を生む様な事となりはせぬかと憂慮して居る向きもある程で、缺員顧問官補充問題でも枢府政府相互間の感情も面白がらずなって居る折柄相当注目すべきものがある。

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