その後の排日情勢 昭和六年九月三十日

香港の事態緩和か 邦人引揚げを断念

【香港二十九日発電通】日本軍艦派遣要請問題は英国官憲側の意見により中止し数日間形勢を観望することとなったが、危険依然去らざるため二十九日の日本人会理事会においては香港九龍の軍隊警備区域を拡張するよう政庁当局に請求し在留民引揚は邦人永年の地盤を失う重大問題につき事情のため自発的に引揚を希望する者の外あくまで踏み止まり現状維持に努力する事となった。なお二十八日支那人代表三名が総督と懇談の結果、支那側で満洲事変は国民政府が国際法規により解決すべき問題だから、英国領土内にある民衆は徒らに不穏行動をなし法に触れざるよう自重せよとの宣言を発表し、暴民の興奮も漸く冷める機運に向い事態より以上拡大の懸念なき模様である。

食糧品輸送 高雄から香港へ

【高雄特電】大阪商船香港支店より高雄支店にあて二十九日午後二時避難民の食料品発送を打電して来たので、三十日出航のデリー丸に米四十五石、みそ、醤油、たくあんを積み込むこととなり又同船には支那船員六十名あり香港寄港の際支那暴民の迫害を受け下船を強要されるも計られず予備船員を乗り込ましめる外投石その他の暴行を防ぐため砂嚢を準備した。又香港を根城とする蓬莱水産会社発動機船七隻は高雄へ引き返した。

陸戦隊出動す 学生検察隊日貨強奪

【上海二十九日発電通】二十九日午後五時五分三井物産がふすま二万俵を輸出すべく租界内麦根路付近にて、はしけに積み込み中抗日救国運動に参加している学生検察隊のために襲われ彼等の一団はトラック四、五台を待ち来りこれを持ち去らんとするので三井では直ちに陸戦隊に急報し出動を需め目下出動中である。学生検察隊の日貨強奪はこれが始めてであるが今後も同種の事件続出すべく警戒されている。

※東京朝日新聞昭和六年九月三十日

コメント

タイトルとURLをコピーしました