下野か国交断絶か 絶対絶命の蒋氏

理事会の成行に最後の望み

【南京特派員十一日発】支那側は日本軍の錦州爆弾投下軍艦増派で激昂、日本側も各地の排日益々悪化し在留邦人が続いて引き揚げつつある情勢、宜昌における我海軍集会所が焼討等の事件によりすこぶる憤慨しているからいつ如何なる事件が勃発するやも知れぬ形勢となったので、中央当局もすこぶる狼狽し始めた。しかも広東との妥協は広東側がいよいよ蒋介石氏を窮地に陥れる策を取って居るので政府当局はただ十三日の国際連盟理事会の成行に最後の望みをかけ、国民の現政府倒壊の各種運動を押さえて居るが右理事会の結果如何によっては蒋氏は絶対絶命の窮地に陥るので、断然下野するかそれとも中央で国交断絶を宣言しロシアに対して取った如き手段に出るか、二つに一つの方策に出るのではないかと見られ、十三日以後の事態は各方面から非常に中止されている。

他力本願のみ 蒋氏、記念週の演説

【上海特派員十二日発】蒋介石氏は十二日記念週で演説して、日本は我が東三省を占領すること三週間に及んだ。かかる武力侵攻は支那の大恥辱たるのみならず世界の承認せざるもの。現に国際聯盟理事会は再開して相当の処置を取らんとしている。日本のため東亜と世界の平和が破壊されんとして支那民衆の愛国心は数十年前と比較にもならぬ旺盛さだ。東三省はあくまで支那の領土だ、万一日本が一切を顧みざれば聯盟規約は無効となる。支那は必ず聯盟規約と聯盟国の犠牲となるべし。世界人道中華民国のために責任を負い、最後の勝利を求むべし。

※東京朝日新聞昭和六年十月十三日朝刊

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