醜状を顧みよ、支那! 日本は正道を行く 1931/10/14

遠東雑誌社長リー氏の痛論

上海発行の「遠東雑誌」(ファー・イースタン・レヴュウ)社長兼主筆ジョージ・ブロンソン・リー氏は十一日来朝、外務省その他実業家等を歴訪し、満洲事変に対する日本側の代表意見をただすため一週間東京に滞在の予定である。同氏はアメリカ屈指の支那通でその論説はアメリカ識者を指導するする力を持っている。十三日夜帝国ホテルに氏を訪い、その満洲事変に関する意見を求めると「私の意見はこの論文に尽きているから」とて最近発行の「ファー・イースタン・レヴュウ」所載「条約の効力」と題し、氏自ら主筆した長い論文を示した。以下その論文を約める。

日清戦争の結果、遼東半島は一旦日本の物となったが、露、独、仏三国干渉のため三千万テールの金と引き換えに支那に返した。ついで露支密約により満洲は事実上ロシアの領土となった。それから日露戦争の結果日本はロシアから満洲における権利及び鉄道を譲り受けその開発のため

多大の資本を投下しているのでそれを保護する必要上、一九一五年支那と条約を結んで租借期間を更に九十九年延ばした。これがいわゆる二十一ヵ条の要求で、最近支那は威迫による契約であるからそれは無効であると言い出した。今日の日支の紛争は偏にこの条約の効力の有無にかかっているようである。しかし支那が従来のいきさつ即ち歴史を無視してただ二十一ヵ条だけを論争の種にヴェルサイユ会議、ワシントン会議と事ある毎にそれを持ち出すのは無理である。そんなことをいえばかつての日本の遼東半島還付も威迫による契約であるから日本は支那に三千万テールの現金を戻しさえすれば遼東半島は日本の領土である訳だ。日本は満洲に十五億円の投資をなしているばかりでなく、その経済的必要、国防の安全、国家の名誉と威信をかけている。日本にとって、この一九一五年の条約を廃棄するとは国家的自殺ともいえる。ここにまた日支紛争の源があるのである。満洲における

日本の既得権問題が解決されなければ日支通商も日支親善もあり得ない。中村大尉事件、万宝山事件朝鮮における支那人虐殺事件その他三百余件が日支間に未解決のまま残されている。支那はその解決策として国際聯盟、ケロッグ不戦条約その他世界の同情なるものを利用して日本の武力を封じ、一方ボイコットを持って日本を経済的に圧迫しようとしている。日本が満洲の既得権に関する限り絶対に第三国の干渉を排撃し必要とあれば全世界をも相手取りて争うことを辞せないことを誓っていることを支那は忘れているのである。しかのみならず(原文まま)支那はケロッグ・ブリアン不戦条約について重大な見落としをしている。即ちこの不戦条約には自己防衛及び既得権擁護の権利の場合が保留されていることを見落としているのである。日本の満洲におけるはなおイギリスのインド及びエジプトにおけるーーアメリカの中米地方におけるーーフランスのモロッコにおけるが如きものである。これは単なる政略、政党あるいは個人の問題ではなく実に一国の運命に関する問題である。自己保存という生命に関する本能に基づいているのである。満洲における支那の宗主権は日本といえども認めている。しからば支那はその宗主権を如何に行使したか、国際の信義を重んじたか、満洲の福利を計ったか、治安を維持したか、また外国資本から成る企業を保護したか?・・・・満洲における権力の濫用は近代まれに見る図である。しかるに日本は満洲に十五億円を投じその地方の繁栄に努めて来たがあのままでは無に帰しようとしていたのである。満洲の支那官憲は七十億ドルもの無価値な紙幣を発行して農民から穀物を取りあげ、それを現金に代えて巨大な軍隊を養い

将軍連の私腹を肥やしていた。支那は盛んに国際的道徳を説くが、日本が事実を以って説くところも聴く者をして肯かせるものがある。支那は日本の侵略を説き不戦条約違反だとするが、日本からして見れば自己防御から出た行為即ち正当防衛というだろう。元来国際法なるものは国際の伝統、習慣及び力から成るのであって口先ばかりの理屈のではない。支那は自己の外交を支持するに力を以てせず、ボイコット、ストライキその他の排外運動なるものを武器として戦う。支那は常に国内で戦争ばかりしていてろくに自分の国を治めないで外国の干渉は排撃するが外国と事が起こると第三国の干渉を希望している。今日の紛争の種は支那がまいたようなものだ。即ち国内を治めず、国家の権力に伴って存する

義務を怠っていた結果である。一九一九年以来、一強国として建直すに足る金額を浪費し、五百万の大軍を抱きながら外敵を防げず日本軍の十倍に当たる兵隊を持っていながら強い隣国が弱い国をいじめると世界に泣きつき、国際聯盟に、物々しい言葉で訴えても仕方のないことであろう。

※東京朝日新聞昭和六年十月十四日朝刊

コメント

タイトルとURLをコピーしました