学良氏根拠地失って王者の地位覆るか 昭和六年九月二十一日

奉天の有力者間に或る計画進捗 二十日奉天にて 土岐特派員発

吉林の形勢悪化の慮れあり。又ハルビン方面不安のため形勢楽観を許さず。ハルビンは目下三千人の居留民あり、もし危険が及ぶ時は断乎たる措置をとることになっているが山海関、京津方面の東北軍には未だ出動の模様なく、東北四省の王者張学良氏も今回の事件によりその根拠地を失うに至りその勢力の基礎が極めて弱くなったが、某方面より探聞する所によれば奉天政界有力者間に或る種の計画が進んでいる事実があるから、或は近く東北軍に一大変化が起こり張学良氏の地位が覆るかも知れぬ形勢がある。

奉天城を失っては現有勢力忽ち壊滅 学良氏迷夢より醒む?

【北平二十日発聯合】信ずべき筋よりの情報によれば満洲事件の発生は張学良氏をして俄然従来の迷夢から醒めしめ日本の満蒙に於る特殊地位を明確に認識し新たに日支関係を確立せざるべからずとの自覚を促したものの如く即ち奉天あっての東北軍であり今日奉天を失った張学良氏は最早中央は勿論、その他の実力派に対しても何等権威なき存在となり加えるに北平を中心とする現有勢力の如きは東三省及びその他派生勢力の擾乱に遇えば一たまりもなく壊滅すべき運命に在るので、何よりも先ず必要なことは奉天を手許に取戻すことであるこの立場に於て静かに満洲事件の素因を考え満蒙なるものに対する従来の張氏の観念とこれと相当に相違ある日本人の観念とを併せて考慮せざる限り到底自己の勢力を保ち難いと言うのである。

※読売新聞昭和六年九月二十一日朝刊

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