およろこびに華やぐ公家で 今日滞りなく御挙式
李鍵公殿下と廣橋誠子姫の御婚儀は秋雨静かに煙る五日渋谷常盤松の李鍵公家御殿で華やかに御挙行。
まず午前九時お迎えとして公家池尻事務官は姫の御実家渋谷松濤の松平邸に参向、同十三分姫は薄桃色のマント・ド・クールに輝かしく宝冠し、清楚な首飾りも美しく映えて親戚、学友、町有志奉送の内に沼野御用取扱陪乗宮内省差し回しの儀装馬車に移乗、半個小隊の儀仗兵前後を護り粛々と出発、沿道各戸は日の丸の旗を掲げ、児童、町民多数奉祝奉送のうちに九時半公家の御殿に到着した。
御殿には姫の母校実践女学校全生徒、町内名誉職、家職等奉迎し姫は少憩の後二階日本間の式場に参進、式場には李鍵公殿下を始め、
李王、李堈公、廣橋伯爵夫妻、松平頼壽伯爵夫妻、鍋島直映侯爵夫人、宗伯爵夫妻、韓長官、
参列、飯田町大神宮藤岡斎主のもとに舞女四名奉仕し厳かな神式により祝詞、誓詞を奏し三々九度御夫婦固めの盃を交わされて十時四十分滞りなく終了した。殿下には御年二十三、姫は二十一におわし、お似合いの両殿下おそろいで華やかな記念撮影が行われた。
勅使御差遣 妃殿下敍動
畏き辺では李鍵公妃誠子殿下に対し五日付勲二等宝冠章を授けらるる旨御沙汰があり同日午前十一時天皇陛下には勅使として牧野侍従を、皇后陛下には本多事務官を、皇太后陛下には西邑事務官を渋谷常盤松の公邸に遣わされ御祝品を賜わった。
※東京朝日新聞昭和六年十月六日夕刊

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